会社には従業員への給与を支払う時、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収し従業員の代わりに納める義務があります。

しかし、通常ですと給与から源泉徴収した金額の一年間の合計と一年間の給与総額に基づいて計算された税額は一致しません。

そこで、この不一致を清算する為に行うのが年末調整です。

もし、一年間で税金を納めすぎているのであれば超過分を従業員に還付して逆に一年間で納めた税金が足りなければ不足分を従業員から徴収する形になります。

例えば、ボーナス5ヵ月分で給料は一年間通して変動がないといった想定で計算されて給与から税金は天引きされています。

生命保険控除や配偶者控除のような所得控除も反映されていません。

そこで年末に本来の所得をかうていして納税額を計算しなおして、給与から天引きした分との差額を還付又は徴収します。

この記事では年末調整で損しない為に知っておきたいことについて書いていきたいと思います。

目次

年末調整で可能な所得控除

所得から控除できるものは「保険料控除」「配偶者控除」「扶養控除」など14種類あり、11種類が年末調整で控除できます。

同じ年収であっても扶養家族がいたり子供がいて教育費がかかっている、医療費を多く支払っているという理由で手元に残るお金はそれぞれ異なります。

所得控除はこういった必要な出費には課税せずに所得から差し引いてから税額を決めようというものです。

年末調整では14種類ある所得控除のうち11種類に関して会社が所得控除の申請をしてくれますが、その際に従業員の家族構成や保険加入の有無に関しては会社側は知り得ませんので年末調整の書類を記入して提出します。

税金が節約できる生命保険控除とは?

生命保険控除とはその年に支払った保険料の金額に応じて、一定金額の所得控除を受ける事ができます。

所得控除を受けるとその年の所得税と住民税の金額が少なくなります。

生命保険控除の対象となる保険は以下の通りです。

・生命保険

・介護医療保険

・個人年金保険

の三種類で対象となる保険契約は

・民間の生命保険会社との生命保険契約

・旧簡易生命保険(民営化以前のかんぽ)

・都道府県民共済や農協の生命共済契約

となります。

注意したいのは保険期間で

・5年未満の契約

・海外で締結した生命保険契約(外資系保険会社でも国内で契約をしたものであればOK)

・信用保険契約、傷害保険契約、財形貯蓄契約、財形住宅貯蓄契約、財形年金貯蓄契約など

の場合は控除の対象となりません。

生命保険控除はどのくらい節税できる?

生命保険控除は最大で12万円の控除ができます。

しかしこれには条件があり、保険料の種類によってそれぞれ4万円までとされています。

方法としては簡単で毎年10月から11月の間に生命保険会社から送られてくる控除証明書を元に給与所得者の保険料控除申請書に記入するだけです。

節税するにはどれだけ所得額を減らす事ができるかどうかです。

所得をいかに小さい額に抑えるかが節税のポイントです。

実際の収入からいかに所得控除を増やして収入を低く見せるかですので、生命保険控除は受けた方がお得です。

年末調整で節税できるiDeCo(イデコ)

iDeCo(イデコ)というのは年金資産の運用管理を加入者個人が行う制度の事です。

自分が支払った掛け金の額と自ら運用した成果によって将来の年金給付額が決まるものです。

60歳までの間に毎月5,000円以上の掛け金を積み立てていきます。

掛け金には上限があります。

サラリーマンや専業主婦の場合は上限が23,000円

自営業者の上限は68,000円

の決まった額を出してそのお金を元に自分で選んだ投資信託や定期預金などの金融商品を組み合わせて運用する制度の事です。

この積み立ててきたお金は60歳以降に運用して貯まったお金を年金や一時金として受け取る事ができます。

最も大きなメリットとしては毎年払っている税金「所得税」「住民税」が安くなることです。

例えば年収約420万円の会社員の方が毎月23,000円をiDeCoで積み立てたとしますと掛け金総額は年間で27万6,000になります。

課税所得が204万円の場合は所得税率は10%ですが、掛け金について所得控除を受ける事ができるので年末調整で2万7,600円戻ってきます。

翌年の住民税も10%の税率ですので同じく2万7,600円安くなります。

iDeCoの年末調整の方法

iDeCoの掛け金を月払いにしていると毎年10から11月頃になるとiDeCoを統括する国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」という書類が届きます。

これはiDeCo加入者が一年間でトータルで払った掛け金を証明する書類です。

この書類をもとに年末調整をするわけですが、各場所は給与所得者の保険料控除申告書の右下の部分にある「小規模企業共済等掛金控除」「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入掛金」と書かれている箇所です。

その右側の空欄と「合計(控除額)」の欄にその年のiDeCで払った掛け金の総額を記入します。

そのあと、小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して記入した書類を勤務先に提出して終了です。

まとめ

この記事では年末調整で損しない為に知っておきたいことについて書いてきました。

生命保険に加入している方は漏れの無いように年末調整で生命保険控除申請をしましょう。

iDeCoで年末調整する場合もそうですが、送られてきた必要書類は無くさないように保管をしっかりしておきましょう。