中古住宅の売買において気になるのが現状どうなっているかだと思います。
新築とは違い時間が経っているのでどこか痛みが出ている可能性があります。
購入した後に多額の修繕費やリフォーム費用が必要となる場合もあるので注意は必要です。
そうしたリスクを回避する為の方法として「インスペクション(住宅診断)」です。
この記事ではこのインスペクションについて説明します。
目次
ホームインスペクションとは?
インスペクションとは調査・検査・視察・査察といった意味を持つ言葉になります。
住宅向けの場合、ホームインスペクションなどと呼ばれます。
建築士の資格をもつ専門の検査員が第三者的立場で住宅の現状の検査を行う事です。
具体的には売主の了承を得て専門家が建物の傾きやコンクリート基礎のびび割れ、水回りの状況を
報告してくれるといったサービスになります。
基本的には売側が調査費用等を負担し引き渡し後のトラブルを回避するものです。
購入する側から見ると購入後に重大な修繕箇所がわかるより購入前に状況を知る事によりその後の
リフォームや修繕に対する見積りも可能です。
ホームインスペクションの現在の普及状況は?
住宅販売の中で中古住宅の流通シェアは欧米諸国より日本は極めて低い状態になっています。
欧米では売買の取引の際には当たり前のように行われているのがホームインスペクションです。
特に購入希望者側からすると中古住宅は建物の構造など見えにくい部分が多くどうしても不安な部分はあると思います。
今回、不動産の法律が改正されており、平成28年の宅地建物取引業法の改正により重要なポイントとしては3つあります。
①媒介契約時に売主または買主に、建物状況調査(インスペクション)を行う業者を
紹介できるかどうか示し、必要だったら斡旋する。
②重要事項説明時に建物状況調査(インスペクション)の結果を買主に説明する。
③売買契約時に建物の現況(基礎、外壁等)を売主、買主が相互に確認をしその内容
を宅地建物取引業者が売主・買主に書面で交付する。
と言ったポイントはありますが、義務化はされていません。
ただ今後は中古住宅の品質に対する情報の公開がさらに広まっていく傾向にあります。
調査費用自体を売主が持つか、買主が持つか、宅建業者(不動産会社)がサービスとして提供するか
場合もありますが、売主と買主の健全な取引をする為にもメリットは大きいと思います。
売主側がインスペクションを行う事でのメリット
■住宅の現状を事前に把握する事で先々のトラブル防止
引き渡しが終わった後に不具合が見つかったら?
一般的に物件を引き渡しの日から3ヵ月以内に発見された不具合にちては売主側が
その補修費用や場合によっては損害賠償費用を負担しなければなりません。
あらかじめ検査を実施してその状況を購入する方に伝えておくことにより
売却後のトラブルを防止する事が可能です。
■検査済住宅として他の物件と差別化が可能
物件の購入を検討している方が気にすることは立地や価格、間取りはもちろんですが
安全性も重要なポイントとしてあげられます。
購入を検討している方は色んな物件をみて検討するわけですが、検査済住宅として
付加価値をつける事により他の物件との差別化が可能となります。
検査適合物件を購入する方のメリット
検査適合物件を購入する場合、「既存住宅かし保証」を利用する事ができます。
これは構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分について隠れた瑕疵が
生じた場合にその損害が補償されます。
保障内容としては
保証期間 引き渡しから1年間または5年間
保証金額 500万円または1,000万円
となっております。
また、既存住宅かし保証を利用すると既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書が発行されて
「耐震性を証明する書類」として築年数が経過した住宅でも税制優遇
(住宅ローン減税・所有権移転登記の特例等)を適用する事が可能です。
税制特例には必要要件が存在する場合がありますので税務署などに確認は必要です。
ホームインスペクションの費用はどのくらい?
■戸建の場合の費用
・基本的な調査の料金
基本的な調査範囲として床下や屋根裏をのぞいて確認する範囲で行う場合
ですと約5万円から7万円程度です。
・床下や屋根裏へ侵入して調査する費用
基本的な調査料金も含めた分で床下と屋根裏へ侵入して移動可能な範囲で調査を
行うもので約9万円から14万円程度です。
■マンションの場合
・基本的な調査の料金
内装工法や建具の特徴、修理が必要な箇所やリフォーム・リノベーション費用の目安
等を見積もった場合ですと5万円から10万円程度です。
どのような場面で活用される?
ホームインスペクションはどんな場面で活用されているかと言うと
・中古住宅の購入者が購入の判断材料として
・不動産仲介会社などの販売促進のために
で活用されることが多いです。
不動産投資においては
・ファミリー向けのマンションを貸していた場合に空室となった
・戸建賃貸を貸していた場合に空室となった
こういった状況になり売却活動をする際に利用できそうです。
ホームインスペクションを利用する事により付加価値をつけて
早期売却につなげる事ができるかもしれません。
まとめ
ホームインスペクションは売る側と買う側を守る制度となっております。
今後の中古住宅のニーズが高まる中でこの制度はどんどん普及していく傾向には
ありますので、制度を理解しておくと役に立つと思います。