問題のある入居者の方がいた場合は同じ建物に住む他の入居者の方からクレームが入る場合があります。
賃貸管理会社に管理を委託している場合は家主に代わって対応してくれますが、自主管理の場合は家主自らクレーム対応しなければなりません。
一番の問題が家賃の滞納ですが、家賃を滞納してしまう世帯の割合はどのくらいなのでしょうか?
日本賃貸住宅管理協会が賃貸住宅管理会社を対象とした「賃貸住宅市場景況感調査」によりますと、全国の月初全体の滞納率の平均は8.2%で前年同時期に比べて上昇しています。
割合としては12戸に1戸の割合で滞納しているという事になります。
貸す側としては決して低い割合とは言えませんが、この滞納には引き落とし口座の残高不足などの場合も含まれています。
家賃の滞納が続くと強制退去を視野に入れておかないといけなくなりますが、簡単に退去させることはできるのでしょうか?
この記事では強制退去させる事はできる?入居者を退去させる際の注意点について書いていきます。
目次
家賃の滞納が3ヵ月続くと強制退去できる?
家を借りる場合の賃貸借契約書には家賃の支払い方法や滞納した場合の措置について書いています。
国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」(改訂版)では家賃や支払期限などが記載されていますが、家賃の支払い義務を違反した場合は大家さんが相当期間を定めて催告したにもかかわらずその期間に支払いが無い場合は契約を解除する事ができると書いています。
この相当期間は2ヵ月では強制退去させることができず、3ヵ月経過すると強制退去させられるという判決が最高裁判所出ています。
この裁判に使用された賃貸借契約書では家賃を滞納した場合はすぐに退去する旨が書かれていましたが、3ヵ月までは強制退去できないと借主側に立った判決となっています。
家賃滞納から強制退去までの流れ【電話・手紙による支払い催促】
不動産管理会社は家賃の管理をしっかり行っています。
1ヵ月以上滞納があった場合は電話や手紙で貸主から支払いの催促をします。
家賃滞納から強制退去までの流れ【連帯保証人への連絡】
催促の連絡を無視し続けると契約時に連帯保証人になってくれた人に連絡します。
ここで家賃保証会社が連帯保証人になっている場合は家賃の建て替えを行いますので、立て替えた分を保証会社が貸主に振り込みます。
家賃滞納から強制退去までの流れ【内容証明郵便による請求・契約解除通知】
内容証明郵便を通じて家賃の支払いの請求をします。
この段階まで来ると裁判所への申し立ても視野に入れていく事になります。
それでも応じない場合は契約解除通知を内容証明郵便を通じて行います。
家賃滞納から強制退去までの流れ【不動産明け渡しの請求・訴訟】
裁判所に申し立てる場合は明け渡しだけではなく未払い分の家賃と家賃の遅延損害金の請求の申し立ても併せて行います。
その後、裁判所を介して退去(立ち退き)に関する訴状が入居者に届きます。
裁判では当事者間の主張と主張を裏付ける為の証拠を提出しなければなりません。
賃貸借契約の裁判では貸主と借主の信頼関係が壊れているかどうかが問われます。
家賃滞納から強制退去までの流れ【強制執行の申し立て・強制執行】
判決が出た後に貸主から明け渡しをするための交渉が行われます。
この交渉では退去日の調整をする事ができますが、まとまらない場合は強制執行の申し立てを行います。
強制執行の申し立てを裁判所が受理した場合は裁判所から立ち退くように催促状が送られます。
ここでもし催促状にしてされた期日までに退去しなかった場合は執行官による強制退去となります。
まとめ
この記事では強制退去させる事はできる?入居者を退去させる際の注意点について書いてきました。
強制退去はすぐに行う事ができるものではなく手順がありますので、知っておいた方が良いです。
家賃の滞納については家賃保証会社が大変役に立ちますので入居募集の際は家賃保証会社を利用するのが条件とするといいです。